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2014-02-09(Sun)

『穢翼のユースティア』感想~正しき道を歩む穢れを~

『穢翼のユースティア』は2011年4月28日発売予定です。
メーカーAUGUST発売日2011年4月28日
ジャンルADV企画オーガスト
シナリオ榊原拓、内田ヒロユキ、安西秀明音楽Active Planets
原画べっかんこう評価A+(S~E)

学園モノを基礎とした賑やかで楽しい雰囲気を持った作品を多くつくるオーガスト(個人的イメージ)制作のダークファンタジーである『穢翼のユースティア』。発表当時や発売当時のことは知りませんが、いろいろ騒がれたであろうことは想像に難くないです。オーガストとしても、美少女ゲームとしても挑戦的な作品でしたが、現在の反応を見ると高評価であり、概ね受け入れられていると感じます。非常に良い作品と感じているだけに、世間的評価を得られていることを嬉しく思います。


この『穢翼のユースティア』は私がプレイする初オーガスト作品になります。軽くこのゲームをプレイするに至った経緯を書きますと、オーガスト作品を全くプレイしていないのに行ったトラベリング・オーガストがきっかけです。トラベリング・オーガストが大変いいイベントで、オーガストの何かを制作することに対しての姿勢が気に入り作品へと手を出したわけです(通常は順番が逆ですが……)。そして、オーガスト作品の体験版をひと通りやって「ヤバイ」と感じたのが『穢翼のユースティア』です。ユースティアは以前から友人に強く勧められてはいたので「いつかやろう」とは思っていました。


プレイした率直な感想としては頭を抱えてしまうほどすごいゲームでした。製品を購入して約三日間でエンディング(ティア)まで到達するという異常な速さでクリアしたことからも、ゲームに没頭できたということがわかります。このゲームはフォークのように分岐して個別ルートに入るのではなく、一本の太いシナリオがあり、その途中で個別ルートという脇道があるタイプの構成でした。ラストはティア編(わかりやすくキャラ名+編という表記にします)なのですが、このシナリオで全てをひっくり返される感覚に陥りました。このティア編がなくても良いゲームだったとは思いますが、ティア編によってこのゲームは私の中に一生残り続ける作品の一つとなりました。「このゲームは何か?」と問われれば、私は「正しさに生きる、生者の物語」と答えます。
オーガストが次に制作した作品が『大図書館の羊飼い』なので、学園モノへと戻ってしまったわけですが、是非またこんな作品を作って欲しいですね。その時はしっかりと予約して発売日に買わせてもらいます。


ダークな雰囲気が好きという人にはぜひオススメしたい作品です。それとFate/ZERO好きな人ならこれも好きなんじゃないでしょうか?(戦闘描写や設定が好きだとかではいです)
体験版をやって面白いと思った人には購入しても、まず損はしないでしょう。ただし、終わった後に頭を抱えてうめいてしまうタイプのゲームだとは言っておきます。自分は久しぶりに頭を抱えて声にならない声を夜中に撒き散らしてしまいましたので。

穢翼のユースティア 通常版穢翼のユースティア 通常版
(2011/07/29)
Windows

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いつものごとく詳細感想は続きからです。今回は要素ごとの感想という形はとっていません。 このエントリーをはてなブックマークに追加


上でも書きましたが、構成は一本の真っ直ぐな太い道があり、そこから枝が別れているという形です。シュタゲや素晴らしき日々と同じ形です。この構成の利用がうまい。最後までシナリオを進めるということは、全ヒロインのことを深く知り、友人以上の関わりを持つということです。これは共通ルートからの個別では無理なこと。この効果は最後のティアシナリオで存分に発揮されました。


ティアシナリオまでは「100人の人がいれば100人の正しさがある。そしてその正しさを自ら選択するか、考えることをやめ人形として生きるか」大雑把に言えばそんな選択の物語になっている。それが最後のティアシナリオまできて反転する。「自らの正しさを持て」とヒロインをさとす側であった主人公が「お前の正しさはなんだ」と詰問される側になる。
ここの構造は見事としか言えない。牢獄に生きていた、牢獄のことしか知らない主人公が、自らの目的を果たす過程で多くを知ったことによって、上に立つものとしての考えに変わってしまったという反転構造と同じだ。


ティアシナリオではヒロイン同士が対立し、命のやりとりまでしてしまう。よく美少女ゲームという媒体でやったという思いと同時に、これは美少女ゲームでしかできないという思いが浮かぶ。当然だが争いなど見たくはない。それも見知ったヒロイン同士がだ。その展開へと至るまでのシナリオで、ヒロインと意見を戦わせ、ヒロインの心を知ったからこそあの場にいる皆の考えが理解できる。似通った理想を持っていても、その理想と現実には埋めることのできない溝があり、現実を理想に近づける手段もまたそれぞれ違う。
争いをもたらしたのは主人公自身と考えることもできるだろう。主人公の言葉や行動によって変化したヒロインたちは、主人公のおかげで見つけた自らの正しさに則り行動し、争う。主人公により変わってしまったから争う。多くの人が自らの考えを捨てて人の言いなりとして行動していれば、最後の争いは起こらなかっただろう。


愚直なまでに自らの正しさを貫いたのはルキウスだ。彼の持つ正しさは「ひとりでも多くの民を救うこと」。100人のためならば、躊躇いなく1人を殺す考え方だ。その行き過ぎとも言える考え方を実践する姿は悪のようにも見える。実際プレイ中あの行動に理解を示しつつも悪と思っていたプレイヤーは多いだろう。不条理の中、ルキウス自らの信じる正しさから選択したことすら裏切られる不条理には同情の気持ちを持つが、それによって最後の最後でカイムとルキウスの歩む道が同じになったのは、彼にとって救いになったとも考えられる。
これは私の想像だが、もしあの場にカイムが現れず、ティアによって都市を浮かせ続けることが出来たならば、あの後全ての責任を引き受け死を選ぶのではないだろうか? それはやはり彼の正義からだ。自らに憎しみを集めその憎しみとともに死ぬことにより犠牲を減らす。物語だからこそ描けるキャラクターだった。理想、理屈、感情、実利、幾つもの面から見た正しさがあり、現実に生きる人はその中から場面ごとに選択しているのだろう。

穢翼のユースティア-Original CharacterSong Series- EUSTIA穢翼のユースティア-Original CharacterSong Series- EUSTIA
(2011/11/25)
No Operating System

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カイムのアイデンティティを構成するものの中に『牢獄』という要素がある。自らが悲惨な幼少期を過ごしたという経験から、それが常識となり不遇な立場から他人を見ることが通常になっている。それは聖女と対峙した時も何かにつけて「牢獄では~」と言っていることからも明らかだ。だがそこで一つの事実を突きつけられる「なぜそんな悲惨な場所から逃げないのか」という問いだ。その問を受け牢獄から出て上層の人間となるのがリシアシナリオだ。だが、リシアシナリオでも立ち向かう相手は上の人間だった。ティアシナリオでは戦う相手が似た立場であるルキウス、ジークとなる。自らが悲惨な立場にいる、弱い立場にいるということを武器にしていたカイムはここで頼るべきものを失ってしまう。それぞれのヒロインのシナリオで気が付かないままにアイデンティティを破壊され、裸になってしまったカイムはティアシナリオで悩むことになる。合理的な考えを説いてきたからこそ、カイム自らは合理的でない選択をすることができない。
これもやはり反転構造だ。他のルートではのヒロインのアイデンティティが破壊され、そしてカイムの言葉によって別のアイデンティティを構築し、自らの力で立ち上がる。ティアシナリオではヒロインたちから言葉をもらい、最後にはカイム自身の力で立ち上がる。


『穢翼のユースティア』をやっていてなんとなく思い出した本があったので紹介しておく(図書館行けば間違いなく置いてあるはず)。と言っても長く小難しい話なので、この本の中でも出てくるトロッコ問題へのリンクを貼っておきます。5人を助け1人を殺すか、なにもしないかという有名な話。ただ、この話には続きがある。初めの質問には即答できても、その後に出てくる質問によって、自らの信ずる正義がどれだけの考えの上に立つものなのか認識することになるだろう。

これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
(2011/11/25)
マイケル サンデル

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◇まとめ◇
テーマとしては多くの作品に用いられてる気がしますが、それをしっかりと描き切っているので評価が高いです。一人ひとりのキャラクターが自らの信ずるものを持ち、考え、行動し、結果を得ていく。基本的なことかもしれませんが、それが出来ているからこその面白さがこの作品にはあります。キャラクターが作品の中で生きているということですね。


話は外れて全くもって個人的な話になるのですが、昔ならばおまけシナリオやティア以外の個別ENDを「甘えだ」と言って非難していたでしょう。ただ、『素晴らしき日々』をプレイしたことで、救いを求めてしまう人の気持ちがわかりました。苦しい、悲しい現実が待っているとわかりつつも、幸せの可能性を求めてしまうことです。逆に、バッドエンドが欲しかったかなと、バッドエンド好きとして一言(こういうシナリオが読みたいというものは特にないので、それによってバランスが崩れるのならいらないですが)。

ちなみに、ティアシナリオがつまらなかったという人は『穢翼のユースティア』というゲームが合わなかったんだと思います。物語としてはティアシナリオがなければ完結せず、また意味のないものとなるでしょう。正義と悪の二元論、勧善懲悪の物語、そうではないものを描いたのが『穢翼のユースティア』なのですから。ティアシナリオという扱っているテーマは平凡なものを、名シナリオにまで昇華させるための前振りがティア以前だと考えています。
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