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2012-03-07(Wed)

終わりの惑星のLOVE SONG『無敵のSoldier』 望みは叶えられり



4/25に発売することが決まった『終わりの惑星のLOVE SONG』。そのムービーとなる第三弾『無敵のSoldier』が公開されました。まあ曲は公開されてるんで、自分で聞いて判断してください。

私の感想としては最後はテンポ落とさないで最後まで駆け抜けて欲しかったかなあ、というのとイントロが「SERIOUS-AGE」に似ているせいでどうもかぶってしまいますってことぐらいです。後はいつものように。今回もムービー見てませんので。
曲を一回は聞いてから読んでくださいね。

終わりの惑星のLove Song終わりの惑星のLove Song
(2012/04/25)
麻枝准×やなぎなぎ

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無敵のSoldiers

ある夜、子供たちは麻袋に入れられていた。子供たちを袋に押し込めたのは10人ほどの大人たち、彼らは生きるために誘拐、略奪を仕事とするものであった。こんな時代でも、それともだからこそなのか、そんな人間は多くいた。大人たちはいくつもの袋を運んでいた。その中には金品や食料が詰められたものもあれば、攫われてきた子供が入っているものもある。その多くは奴隷として売られるか、娼館などに売られることになっていた。
大人たちは今回の大成功に浮かれ、宴会を開いていた。奪ってきた食料を口にしながら意気揚々と仕事について語り合う。「俺の声のドスの効き具合はいつにもましてすごかっただろ。台詞を聞いただけで自分たちから金品を差し出してきたぜ」「それは俺が後ろで剣をちらつかせてたからだ。俺の演技が上手いんだ」「俺の剣さばきのおかげもあるだろ。ここらでも結構名前が広まってきたんだぜ」皆口にするのは自分の活躍。その場だけならば明るい宴。

朝になり荒れ果てた大地もまた照らしつけられた。大地には特に生物も見えず、光が射したこと以外に暗闇であった時と何も変わることがない。死んだものは何も変わらない。
ほとんどの袋が動いていた。眠らされていた子供が起きたのだろう。声を上げて暴れだす子供もいれば、何も言わず状況のままとなる子供もいた。多かったのは何もしない子供だった。暴れる子供に対して、大人たちは特に感情も見せずに袋を叩き出す。悲鳴が空気を響かる。子供たちは暴力という圧倒的な力の前に怯え、恐怖という感情が心を締め付ける。

大人たちは街に着き多くのものを売り、多くのものを買った。街で売れなかったモノの中に一人の少年がいた。次の街でも売れなかったらただの荷物として捨てられる運命にある少年だった。
次の街を目指す大人たちは普段のように野宿をしていた。何もない大地ではあるが警戒は怠らず、見張りを常に一人は立てている。少年はやはり袋に入れたままで、大人たちはこれからの計画について話し合っていた。少年はこれからの自分の命運に考えを巡らせつつも何もできないことを知っているので次第に眠りへと落ちる。


朝が来た時、そこにいたのは袋から出された少年と見知らぬ若い女性だけだった。若い女性の背はさほど高くはなかったが、少年よりは高かった。二人以外に動くものなどなかった。
「……」
周りには死んだ世界に不似合いとも言える赤い花が美しく咲き誇っていた。少年はその様子を何も反応せずただ立ちつくす。それを見た若い女性は言う。
「おまえの家はどこだ。これからどうしたい」
少年は考える素振りを見せつつ、問うてくる若い女性を見ながら答える。
「わかりません……なるようにしかならないでしょう」
その言葉は宙へと消えていった。
「おまえはこれからあたしについて来い。あたしの命令には従え。それがすべてだ」
「……わかりました」
「わかったなら街へ行こう。おまえみたいなのが一緒だと昼には着かないだろうな。ちゃんとついて来い。あたしは手伝いなどしない」
「わかりました、ついて行きます」
二人は言葉も少なく会話を終えると、街へと歩き出した。誰もいなくなった場所でも花は咲き続けた。

少年は若い女性に連れられて若い女性が拠点として使っている街へと来ていた。その街は治安もいいほうで、規模も大きく、めぐるのに半日はかかるほどだ。街の入口で若い女性は言う。
「これからしばらくの間ここで生活する。ある程度したらおまえに稽古をつけていくことになるだろうが、今はまだその時ではない。おまえは自分で選択して人間らしく生きてみろ」
「……」
そんな若い女性の言葉に少年は戸惑いつつも頷くだけだった。

街を歩く若い女性は多くの注目を集めている。少年は後で知ることになるが、若い女性はここらでは知らないものがいないと言われるほどの有名な戦士だった。賊に対しては容赦無く死を送る無慈悲な戦士として恐れられ、終いには一般人からも恐れられるほどの存在になっていた。
そんな若い女性の横に人間がいる、あまつさえ女が自分から連れているらしいという状態は多くの噂をまき散らした。「あの女は少年を騙している」「少年を愛玩目的で飼っている」「少年は生き別れの弟である」「女は隠居しようとしている」、そのどの噂も若い女性と少年の関係を正しく表してはいなかった。


二人は一軒の他と比べると大きな建物の前へときていた。そこは宿として経営をしているが、若い女性は特別な待遇を受けていた。宿からは何も干渉しない、泊まりたい時には必ず泊まることができる。彼女が戦士であることからできる、そういう契約であった。
「今日からここがおまえの家になる。さっきも言ったがしばらくは普通の生活だ。ただあたしの傍を離れるな。どんな時もだ。あたしはおまえが人質にされたとしても無視する。そういうことだ」
「……」
やはり少年は無言で頷くだけだ。言葉の内容は理解できているようだが、あまり話すということをしない。

それからの日々は贅沢としか言えないような生活だった。暖かな食事、働かなくても、何もしなくていい生活。その時間の中で若い女性は少年に生きていくことについて教えていった。身を守る知識、人間関係の作り方、悪党との戦い方、交渉の方法、だがその生活には何かが欠けているようだった。
そんな優しい生活にも終わりが来た。

「次の朝からは以前言っていたように修行を始める。そして、これからあたしのことは『師匠』と呼ぶようにしろ。そして返事は必ずはっきりと素早くだ。わかったか」
「はい、わかりました師匠」
以前とは違い、少年は言葉を発するようになっていた。普通の人と比べれば言葉数は少ないが、それは少年の個性であったのだろう。


それからの日々は過酷としか言えないものだった。若い女性はまず少年に武器として剣とナイフを与えた。剣は少年の体格からすればそれは大きなものであるが、女性は剣とナイフの両方とを常に持ち歩くよう指示した。だが剣に関しては鞘から抜くことを禁じ、簡単には抜くことができないように剣と鞘を縄で縛り付けた。
体力をつけるための修行、剣を扱っていくための訓練、模擬戦と称した動物相手の狩り、若い女性の実戦への同行、一日の殆どがそれらのための時間になった。少年には生傷が絶えず、一日の終わりには泥のように眠る日々となった。少年はその日々の中、実力を次第につけていき若い女性のサポートもこなすようになっていった。だが、人相手の刃物を使った実戦は経験してはいなかった。少年はあくまでサポートでしかなかった。
ある仕事を終えた夜、少年は若い女性に問う。
「師匠、初めにもらったこの剣はいつ使えるようになりますか。そして、いつ実戦で師匠と同じように戦えるようになるのですか」
「……そうだな。おまえも戦えるようになってきた。剣を抜くことを許可する。そして今から私と実戦形式での戦闘を行う。先に相手を戦闘不能にしたほうが勝ちだ」
「わかりました、師匠」
少年はナイフを使い、時間をかけながらも全ての縄を切った。そして、自分の力で初めて剣を抜いた。少年が剣を師匠に教わったように構えようとした瞬間、目の前には誰もいなくなっていた。とっさの勘で右と判断し、少年は剣を振る。運良くその場には若い女性がいた。だが、勘で放った軽い攻撃は難なくかわされ、次の瞬間には少年の手からは既に剣はなく、高い音と共に弾き飛ばされていた。少年は何をされたのかわからないまま、地面へとたたきつけられる。
「まいりました」
若い女性の剣が少年の首に触れ、赤い液体が剣をつたって地面へと垂れていた。少年はその状態で降参の意を示した。
少年には初めて剣を抜いたという興奮があり、同時に油断もあった。だが、例え油断がなくともこの結果は何も変わらなかった。それほどの実力差、経験差が未だ二人にはあった。
「実戦といったはずだ。今起きたことをすべて刻め。攻撃する時は相手の反撃を想定しろ今日はこれで終わりだ。この後は寝るなら寝ろ」
そう若い女性は言うと自分の寝る準備を始めていた。少年もそれに習い眠りにつく準備をする。寝ている間に襲われる危険性もあるが、何かが起きた場合すぐに対応できるような訓練は受けていた。周りにも簡単な罠を設置してある。
少年は若い女性が寝たあとも起きていたが、しばらくすると眠りについた。


時は過ぎ、少年は成長し青年となり、若い女性が買い与えた剣に見合うようになっていた。若い女性は二人組となったことで、以前よりも名が広まっていった。だが青年は未だ人を手にかけたことはなかった。少年がそのことについて聞いたこともあったが、若い女性は「今はまだその時ではない」と言うだけだった。
ある時、二人は拠点にしている街に戻ってきた。その日、二人は別々の行動をとることとなった。陽が沈む頃家に戻るという約束をして分かれていた。今少年は新しい仕事の情報を手に入れるため、街を廻っている。
青年が街を歩いていると、武器屋から怒声が聞こえた。そちらに目を向けると、先ほどの声を発した店員と思われる男が、切り裂かれる瞬間だった。切った人間は血にまみれた、武器屋の商品であったであろう大ぶりの剣を持って走りだした。
青年はすぐにその人間を追う。フードとマントを着た盗人は返り血を浴びていたので見失う危険は少なかった。剣を盗んだ人間はかなりの速さで走っていったが、青年のほうが速かった。逃げられないとみた盗人は追いついてきた青年と街中で対峙する。青年にとって実戦での一対一は初めてであったが、今までの経験のせいか落ち着きを保っていた。先ほどの走りの速さ、そして対峙している今剣の構え、どちらも間違いなく強者のものであった。
青年が構えた刃を煌めかせ、自らの速度を活かすように姿勢を下げつつ一気に距離を詰める。そして、剣により逆袈裟に切り上げる。だが盗人はその速さに怯む様子もなく、大柄な剣を使っているとは思えない速さで、青年側へと突っ込みながら半身となり青年の攻撃を避けた。盗人はそのままの勢いで剣を構え、青年の右側をすれ違いざまに一撃を与えようとする。その一撃は青年のナイフによって止められた。青年は剣での攻撃が避けられると判断するや、すぐに左手を離し剣は右手のみで振りぬいた。そして左手は腰に刺してあるナイフへと伸び、盗人の攻撃を受け流していた。
青年はナイフを元あった腰に戻し、冷や汗をかいた両手で剣を握り直す。盗人の実力は相当なものだった。少しでもナイフを抜く判断が遅れていたら、青年はかなりの深手を負っていたであろう。だがそれに対して青年が臆す様子は見せない。それに対して盗人は顔を隠しているので表情を見て取ることはできない。武器は盗んだ剣以外を持っているのかマントで体が隠されているので判断がつかない。
今度は盗人の方から攻めてきた。向かってくると見せかけて傍の店に寄ると、売っていた食料をかごごと投げつけてくる。攻撃自体は大したことはないが、それにより生まれる隙や死角が問題となる。青年はその判断を即座に行い最小限の動作で飛んでくる食料を払いのける。その隙を逃さず盗人は青年の死角から剣を振りおろしてきた。それを予測していた青年は既にその太刀筋を遮る位置に剣をのせていた。
先ほどとは違う、力と力のぶつかり合い。盗人は大柄な剣の重さと勢いを利用した上からの力、それを受け止めるのは青年の力。青年はただ力を受け止めるのではなく、体のバネを使い衝撃をうまく逃していた。衝撃の一瞬が終わった瞬間、力が拮抗した状態から一気に青年の力が上回り剣をはじき飛ばし、遥か後方へと剣は飛ぶ。
盗人は力が拮抗した時点で剣を掴む手の力を緩めていた。あえて剣を飛ばしたのだろう、すぐに腰の後ろから短刀を手にしていた。それは青年の師匠が愛用していたものと同じ短刀だった。短刀は青年の首を狙う。
青年の体は動いた。あったのは青年が盗人の腹へと深々と剣を突き刺している姿だった。

青年は倒れた盗人の顔を見る。そこにあったのは青年の師匠である人物の顔だった。
「わがままをすまなかった。おまえは殺せる、殺す側の人間だ」
それだけの言葉を青年の師匠である若い女性はかすれた声で言った。その目はうつろだったが、青年の目の方を見ていた。青年は若い女性を抱えあげようとすが、若い女性は震える手で自分の持つ短刀を青年の手へと握らせる。
「武器を持て……隙を作るな……これが最後だ……道は自分で切り開け。……ただそれだけだ」
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